センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

2021年12月のブログ記事

  • 負の連鎖

    義父はアルコール依存だった。 家族も親戚も友人も その問題に頭を悩ませたが 誰にもどうすることもできなかった。 義父の父親もまたアルコール依存だった。 お酒が過ぎて、冷静な判断ができず たくさんあった田畑を失うことになった。 そのために 義父はとても苦労した。 義姉もまたアルコール依存だった。 義... 続きをみる

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  • 今年の終わりに決めたこと

    あの日、 「何もしてくれてないよね。」 と、夫は言った。 「よくお金を取りに来れるよね。」 それは、4年前のことだ。 次男が大学を卒業し、 社会人として働き始めた頃だった。 夫の会社は今どき珍しく、 給料は振込ではなく、現金渡しだ。 次男が大学に入学したときから 別居を始めたのだが 生活費は夫から... 続きをみる

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  • 「てんごく」

    この絵本を いつ買ったのか 何故買ったのか 覚えていない。 これは、主人公のリリーと犬のディルの お別れのお話だ。 旅立ちの日、 ディルはスーツケースに荷物を詰めて 「およばれだもの」と、歩き始める。 いっしょに行きたいリリーだが、 ついてはいけないことを知り 「てんごく」がどんな所なのかを 想像... 続きをみる

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  • もう一つの憂鬱

    夫からSOSが来た。 体調不良で、買い物に行けない。 いくつか 買ってきて欲しい物がある、と。 久しぶりに会う夫は 浦島太郎のようだった。 足の筋肉がやせ細り、顔色も悪く 立ち続けることも難しかった。 部屋はモノであふれ、片付けは放棄され 絵に描いたような荒み方だった。 何にしても 病院に連れて行... 続きをみる

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  • 選んだことは、たぶん正しい

    父は前立腺がんで亡くなった。 もう20年になる。 診断が確定したとき、 医師は3年はホルモン療法が効くと言った。 しかし、 あらゆる薬を試しても 3年後には打つ手がなくなる、と はっきりと言われた。 父のがんは たちが悪いものだった。 母はあらゆることを試みた。 食事療法に始まり アガリクスだの、... 続きをみる

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  • そこに吸い込まれぬように

    今、生きているこの世界には 普段は見えない穴がある。 その穴は 見えない人にはずっと見えない。 見える人には 予期せぬ時に現れる。 半年前、 仕事帰りの夜の駅で 突然、その穴は現れた。 私は、とても疲れていて ぼんやりと電車を待ちながら 目の前の線路を見つめていた。 そこに突然、穴が現れて 見えな... 続きをみる

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  • 命を繋ぐもの

    昔、 料理研究家の城戸崎愛さんが インタビューに答えた記事が とても印象に残っている。 城戸崎さんが可愛がっていた犬が 病気になり、獣医師からも見放された。 家に連れ帰り、 最期に思い切り美味しい物を食べさせたいと コシヒカリを炊き、 最上級のお肉を焼いた。 すると、それを見た犬は ペロリと平らげ... 続きをみる

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  • イブの光

    どうしようもなく気持ちが塞いで ずっと1日、ふとんをかぶって 闇の中に隠れていたい、と 鬱々と迎えた朝だった。 老猫は 私を見て、ひと声鳴き しっかりと歩いて外に出た。 そこで時間をかけて水を飲み 朝日の中を どこかに向かおうとしていた。 もう、食べることもできないのに その背中は凛として 不甲斐... 続きをみる

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  • クリスマスはやって来るのに

    毎日、少しずつ大掃除を進めているが、 なんだかなかなか進まない。 雨戸も掃除して、網戸やガラスも拭いて、 カーテンも洗った。 さっぱりしたはずなのに 心が晴れない。 私たちと18年暮らした猫が もう、この年を越せないかも知れない。 この12月が加速度をつけて過ぎるように この猫の命も加速度をつけて... 続きをみる

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  • お金の教育

    次男が中学に入学したとき、 入学式後の初めての保護者会で 学年主任が話したことは    殆どお金のことだった。 普通は、中学校の生活のこととか 勉強や学校の決まりだとかが メインになるものだけれど、 その先生は違った。 小学校のときは、給食費を含めて こんなもの(金額)でしたよね? それが、中学に... 続きをみる

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  • 見えないもの、聞こえないもの

    前に受けた研修に 多重債務の講義があった。 講師は、 多重債務を専門とする弁護士だった。 冒頭で、講師はこんなふうに話し始めた。 「多重債務って言うと、 ギャンブルで借金したとか、浪費家だとかの お金にだらしない人たち、 そんなふうに考えるでしょう?」 「確かに、そういう人もいます。 でも、そうい... 続きをみる

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  • 明日の自分を助けるために

    勉強は何のためにするのか、 という問いは永遠のテーマだろう。 昔は たくさんの公式とか ひたすら続く書き取りとか、 こんなことが、何の役に立つのか さっぱりわからず、 授業中はぼんやりと別の世界を旅してた。 真面目に聞いてる振りをするのが とても得意な子供だった。 大人になって 自分の子供を育てて... 続きをみる

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  • 「たいせつなこと」

    今日はなぜだかブルーだった。 もう長くはない小さな命との別れ 新しく旅立つ者との別れ   自ら選んで断ち切ろうとする別れ まもなく 対峙しなければならないこれらの別れが どうしようもなく気持ちを波立たせ 虚しさで動けなくなる。 ふと、本棚に目を向けて 久しぶりに手に取ったこの絵本は 内田也哉子さん... 続きをみる

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  • 12月の思い

    歳を重ねると、毎日があっという間だ。 特に、 12月は中旬を過ぎると 加速度をつけて駆け抜けていく。 クリスマスやお正月を待つ、 キラキラした華やかな12月だが 誰もが等しくこの月を 待ちわびているわけではない。 病や、別れや、つらい出来事や そうした様々な荷物を背負って あまりにも眩しすぎるこの... 続きをみる

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  • 憐れみは恋の始まり

    学生のとき、 哲学の講義を履修していた。 ある日の講義のテーマは    Pity is akin to love. 「可哀想だたぁ、惚れたってことよ。」 夏目漱石の「三四郎」に出てくるらしく、 教授は名訳だと力説していた。 私は、「坊っちゃん」すら完読できず、 夏目漱石には縁がなかったが、 この言... 続きをみる

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  • 人生は「面倒くさい」

    小学校で支援員をしていた頃、 子供たちから毎日のように聞いた言葉は    「面倒くさい」 だった。 板書をノートに写すとか、 国語で漢字を書くだとか、 とにかく淡々と続けることが    「面倒くさい」のだった。 午後からの書写なんて最悪だ。 給食でお腹はいっぱい。 昼放課で思いっきり遊んで、 5時... 続きをみる

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  • 鬼の子の幸せ

    以前、 この広告を新聞で見たときの インパクトの大きさは 何年経っても、変わらない。 これは、2013年の 「新聞広告クリエイティブコンテスト」の 最優秀作品だ。 私は この言葉のインパクトに圧倒されていたが、 もっと驚いたのは、 この賞のテーマが、 「幸せ」  だったことだ。 めでたし、めでたし... 続きをみる

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  • 「やり返したら、その子も痛いよ」

    長男が保育園に通っていた頃、 仲良くしていた母友がいた。 彼女は「ママ」というタイプではなく、 「かあちゃん」だった。 彼女もマイウェイを突っ走る夫に悩み、 お互いに家族のことや、子育てのことなど なんでも話した。 彼女の長男とうちの長男がなかよしで、 彼女の家にもよくお邪魔した。 彼女の息子はと... 続きをみる

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  • メルカリで買って良かった物 ②

    メルカリには色々な物が出品されていて お米とか果物とか、ミニアートとか 私はとてもありがたく利用している。 メルカリで買って良かった物、 お気に入りの物はこれ⬇ りんご箱で作ったストッカー。 スヌーピーの柄や色も選べる。 私は、箪笥に入らない厚手のニットを収納。 確か6800円くらいだったと思う。... 続きをみる

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  • 246円の価値

    前に 夫が、アルコール依存で 眠った後に酔いが回って、 夜中に色々やらかしてくれたことを書いた。 夫は、夜中に2度トイレに立つ。 そして、何故か台所で蛇口をひねり、 お湯を出しっぱなしにして ガスを止めてしまったり、 玄関や屋上に向かうドアを 開けっ放しにしたりした。    危なくて仕方ない。 だ... 続きをみる

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  • 負け組のひとりごと

    「お母さんが泣いとるぞ。」 と、とても偉そうに夫が言った。 まだ、義父が存命だった頃のことだ。 義父もまた、アルコールに依存する人で 義母はとても苦労した。 結納の日に初めて会った義父は とても静かで、おとなしそうに見えたが、 夫を始めとして、義母も義姉夫婦も お酒を飲ませまい、と必死になっていた... 続きをみる

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  • 誰のモノでもない自分

    「君は俺のモノだ。」     と言われたら… 相手やシチュエーションによっては    嬉しいんだろうか? 若い頃、これを夫に言われた時、 私はちっとも嬉しくなかった。 私の人生は私のもので、 誰のモノでもないし 誰のモノにもなりたくない。 彼の言った、「俺のモノ」は たとえば「俺の車」だったり 「... 続きをみる

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  • 「道楽みたいな仕事して」

    発達障害の子供を支援する仕事を始めた時、 もう夫とは別居していた。 毎朝、2時間目から入り、 5時間目が終わると、勤務終了だった。 私が支援する子供たちは 自閉症スペクトラムだったり、 ADHDだったり、学習障害だったり… 個性豊かで、 大変なこともあったが、 私はこの子たちが好きだった。 手がか... 続きをみる

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  • 先生だって間違える

    小学校で発達障害の子をサポートする、 支援員として3年ほど勤めたことがある。 体力的にもなかなかきついが、 何より精神的にタフでないと 務まらない職場だ。 学校は時間外労働がものすごく多い、 ブラックな職場と言われるが 聞いていた以上に、 先生たちは忙しかった。 私はもともと、食べることが早い方だ... 続きをみる

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  • お岩さんの気持ち

    その日、私は仕事を休んで ある採用試験を受けていた。 試験は無事に終わり、 とても疲れていたので、 家に帰ると、少し眠った。 やがて起きると、なんだか左耳の下辺りが痛い。 なんだろう? 翌朝、少し左頬が腫れていた。 身体もだるくて、 できることなら仕事を休みたかったのだが 前日、休んだことでもある... 続きをみる

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  • 相続は他人の始まり

    先日、久しぶりに叔父が実家を訪ねてきた。   あれ? 突然の訪問を私は訝しんだ。 何年か前、 母は自分の兄弟達を相手に調停を起こした。 それはもう、揉めに揉めた調停だった。 母は生まれたときに里子に出された。 本家に子供がなく、 分家には既にふたりの息子がいた。 次に生まれる子を養子に、 と決めら... 続きをみる

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  • あの頃の「STORY」

    昔、STORYという雑誌が好きだった。 庶民的、というよりプチセレブ的な おしゃれな雑誌で、 創刊号を見た時はワクワクした。 創刊時のカバーモデルは黒田知永子さん。 読者モデルには 富田リカさんがいて、 その後には清原亜希さんが続いた。 3人とも、スタイルが良くて、おしゃれで、 そして、素敵な奥さ... 続きをみる

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  • いつかの誰かの離婚裁判

    以前、受けていた研修に 裁判所の裁判を傍聴して、 レポートを提出する、というのがあった。 基本、裁判は公開されているので、 誰でも傍聴することができる。 私は、たまたま覗いたのが 離婚裁判だったので、 他の何人かといっしょに傍聴した。 裁判は既に始まっており、 たくさんの司法修習生が傍聴していた。... 続きをみる

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  • 加齢の王道

    昔は今の時期になると いくつかの歌謡曲の賞レースが始まっていた。 最優秀新人賞とか大賞とか メディアも予想で大いに盛り上がった。 あの花の82年組の年は 女性アイドルが粒揃いで、 とても華やかだったのだが ある賞の新人賞で、 ずらりと並んだアイドルたちを見て   父は、   誰が誰だかわからない。... 続きをみる

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  • ツルを伸ばすもの

    実家の庭でツルニチニチソウと格闘している。 お隣の人がほんの少しグランドカバーのために植えたものが 柵をまたいで越境し、 あっという間にこちらの庭に広がった。 花は可愛らしいのだが、 このツルがものすごい勢いで伸びていく。 あっという間に地面を覆い、 さらに伸びて、エアコンの室外機や コンクリート... 続きをみる

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  • 運はどこから

    何年か前に購入して、忘れていた本だ。 この本では、脳に関する色々な研究者の研究や 実験の結果が紹介されていて、なかなか面白い。 人差し指と薬指の長さの比なんて 気にしたこともなかったのだが、 人差し指が短い人の方が 株取引で儲け上手なのだという。 この左側のような指、ということだ。 これは都市伝説... 続きをみる

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