「やっぱり孫欲しいよね?」
LINEで突然、次男に聞かれた。
保険の見直しを考えた彼は、
終身保険を解約して、共済にすると言う。
独身に高額の死亡保険金はいらない、と。
妻子ができたら必要では?と問う私への答が
冒頭の言葉だ。
孫…
いたらいたで嬉しい。
いなければそれでも大丈夫。
あっさりとそう返信した。
彼には彼女がいるが、
たとえ、同性と結婚したいと言われても、
私は反対しないだろう。
そりゃあびっくりするだろうが、
それが本人の望みならそれでいい。
彼の人生なのだから。
だから、孫はいてもいなくてもいい。
結婚もしてもしなくてもどちらでもいい。
親としての願いは本人の幸せだ。
母は違う。
認知に支障が出ていても、
家の跡継ぎは必要なのだ、と言う。
もう90歳になったのだが、
友人がひ孫自慢にやって来ると、
後から本気で怒っている。
悔しいのである。
自分もひ孫が欲しいのだ。自慢したいのだ。
それも理解できないわけではない。
長男も結婚に興味はない。
兄は独身だし、次男も結婚しないとなると、
家は息子たちの代で終わりである。
もし、財産に少しでも余裕があるのなら、
上手に使い切ればいいし、
土地や建物は寄付したっていい。
それはそれでいい。
というのが私の意見である。
一度きりの人生だ。
見栄とか体裁とかしがらみとか、
どうでもいいことに振り回されなくていい。
風邪をひいて、2日ほど寝込んでいた私は、
今朝、久しぶりに散歩に出かけた。
時々すれ違い、挨拶をする女性と
久しぶりに出会った。
私より少し年上くらいの、スリムな方で、
いつもピンと伸びた姿勢が美しい方である。
朝早くから出勤されるその女性とは、
何の面識もないし、近所でもない。
ただ、時々すれ違うだけ。
久しぶりに出会って、いつものように、
「おはようございます」と挨拶を交わすと、
女性はにっこりと「寒いね」と付け加えた。
とてもいい笑顔だった。
こちらが嬉しくなるような笑顔だった。
私も「寒いですね」と返した。
ひと際寒い朝だったけれど、
帰り道は、胸がほのぼのと温かだった。
人生、悪くないな、と思った。
生きてるだけで罪な日もあるけれど、
生きてるだけで良い日もある。
「寒いね」のひとことだけで、
柔らかな同士のような笑顔だけで、
こんなに幸せな気持ちになれる。
だからね、好きなように生きていいんだよ。
人と比べなくても、特別じゃなくても、
自分だけの小さな幸せがあれば、
ちゃんと生きていける。
とても清々しい朝なのだった。