センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

加齢の王道

昔は今の時期になると


いくつかの歌謡曲の賞レースが始まっていた。


最優秀新人賞とか大賞とか


メディアも予想で大いに盛り上がった。





あの花の82年組の年は


女性アイドルが粒揃いで、


とても華やかだったのだが



ある賞の新人賞で、


ずらりと並んだアイドルたちを見て


  父は、


  誰が誰だかわからない。


  みんな同じ顔に見える。


        

       と真顔で言った。



  まだ、若かった私には、


     信じられない言葉だった。




確かに


皆、前年デビューの聖子ちゃんカットを


少しアレンジしたような髪型で


同じようなフリフリひらひらした、


可愛い衣装を着ていたけれど。




同じ顔には見えないぞ。いくらなんでも。



と、私は呆れたものだった。





そして、


あの頃の父の年齢を超えた今、


私も同じ道を歩んでいる。




テレビを見ても、


誰が誰だかさっぱりわからないのだ。




坂道シリーズは


センターさえもわからない。



  欅が桜になったんだっけ?


       と言うと、


  はい、よくできました!


   と、次男にばかにされ、


  あれこれ聞いて呆れられる。




    NiziU?知ってるわい。


    BTS?知ってるわい。


 




 なにわ男子だって知ってるわい!





しかし



誰が誰かはわからないのだ。




  個人名を言われてもさ。



  みんな同じ顔に見えるんだから。




   仕方ないじゃん!






こうして



私も、


見事に加齢の王道を歩いていくのだ。