センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

1月は鬼門

私にとって


1月は用心が必要な月だ。



父がまだ元気だったあの年、



お正月気分もすっかり抜けた頃に


大雪が降った。



早朝


父は仕事に出かけるために車を諦め、


母と二人で雪道を歩いていた。



そこで 滑って後に倒れ、頭を強打した。


近所の人がすぐに救急車を呼んでくれたが


大雪で到着が遅れた。



私に一報が入ったときは まだ意識があった。


しかし、救急車が病院に到着すると


頭蓋骨骨折で 中で大量に出血しており


脳を圧迫して 危険な状態だった。



大雪で 手術のスタッフが揃わない。


麻酔医が来れなかったのだ。



担当の外科医が 電話で怒鳴りつけ


麻酔医がなんとかやって来て


ようやく手術が行われたのだった。



術後、とりあえず 脳を守るために


麻酔で眠らせ 低体温療法が行われた。



なかなか体温は下がらなかったし


出血も多かったので 生還の確率は半分で、


助かったとしても、後遺症が出るだろう


と、説明があった。




しかし、ありがたいことに


父は命を繋いで 後遺症も残らなかった。




癌は進行していたので


その1年後には


最後の入院をすることになったけれど。



私たちが覚悟を決める期間を与えてくれた。






そして



4年前の1月、飼い猫が交通事故にあった。



私の目の前でトラックに轢かれ



飼い猫の毛が パァッと飛び散る光景が


今でも 鮮明に残っている。




それでも 彼は助かった。



右足を骨折し 下の歯が少し折れたが


命は無事だった。



右足は 粉砕骨折で治療は半年に渡った。


手術と入院だけで 20万円ほどかかり


それは 私の3か月分のパート代だったので


猫も痛かったが 私の懐も痛かった。






そして



その翌年の1月、今度は私が入院した。



その入院は2週間を超え


やりたかった次の仕事の面接に進めず、


入院費は17万円を超えた。



トータルで3週間も仕事を休んだが


有給が殆ど残っていたので


有給扱いにしてもらえたのが



せめてもの救いだった。





だから



1月を迎えると 私は少し緊張する。



気をつけなければ と年末から思う。






昨日



私は 財布を失くした。



朝、気付いて パニックになった。




免許証 保険証 クレジットカード


そして マイナンバーカード


お金も5万円ほど入っていた。



家中 くまなく探し 実家にも3往復し


それでも 見つからず 交番に出向いた。



銀行に入金予定のお金が入っていたから


もし、拾われても 届けられる確率は


かなり低くなるだろう。



バカだ。救いようのないバカだ。



最悪の日曜日を過ごし


最後にもう一度 実家に出かけ



母が編んだ座布団カバーをふとめくると



     あった!



私が忘れて行ったので 失くさぬようにと


母がその下に隠しておいて



忘れてしまったのだった。





そうなのだ。私にとって



    1月は鬼門だ。




私は深く反省し


財布は斜めがけのポシェットに入れて


絶対に身から離さない と決めた。




残りの1月の日々を


私は祈るような思いで 過ごすだろう。