センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

伊賀の者か 甲賀の者か

 ひたひた ひたひた



   ひたひた   ひたひた



まだ暗い朝の時間、


まるで忍者のように 足音を忍ばせ 


音を立てぬように気をつけながら


朝食の準備を始める。






カーテンも開けられない。


雨戸も開けられない。



冷蔵庫の開閉はそ~っと、そ~っと。




やがて


二番目の忍者が起きてくる。


  次男だ。


いつもはパタパタ降りる階段も 


ガラッ!と開ける木の扉も


そ~っと、そ~っと。




そんなに気をつけていても


修行の足らない二名の忍者は


ガン! だの ゴン! だの 音を響かせ


その度にドキドキしてしまうのだ。






こんなに緊張を強いられるのは


昨日から始まった長男の夜勤のせいだ。


午後4時に家を出て


帰って来たのは午前3時半。


お風呂に入って 


やっと寝られるのが午前4時過ぎ。



私たちが起きる時間は、


ぐっすり眠りたいだろう。





次男が出掛け、


静かに私も朝食を済ませる。


そ〜っと実家に出掛けて


猫に餌をやり、大量の落ち葉と格闘し、



また、昼食の準備に戻る。



起きて来た長男は、起きてすぐに


この昼食を食べ、


前倒し残業のために、1時前に家を出た。



もちろん、大きくため息をつきながら。







夜勤の仕事は多岐に渡る。


医療、物流、製造、介護、etc…


働く当事者も共に暮らす家族も大変だ。




忍者生活に慣れるには、


まだまだ修行が必要だが、



私たちの生活が 夜にも働く人たちに


常に支えられていることを


改めて気付かされて


この修行にも大事な意味があるのだと


ひと息つきながら思う昼下りなのだ。





         勤労感謝の日に。