センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

大草原の小さな家

私は小学校の修学旅行に行っていない。
行けなかったのではなく、行かなかったのだ。自分の意思で。


小さい頃から乗り物に弱かった。
車に30分乗っただけで酔ってしまう。
親はあちこち旅行に連れて行ってくれたけれど、車に酔ったことしか記憶にない。


遠足は悲惨だった。エチケット袋を片手に前に乗っている先生の近くに座らされる。
クラスのみんなに気を遣われるのも辛い。
人に迷惑をかけてまで行きたくはなかった。


で、修学旅行だ。
どちらかというとおとなしい性格だったが、私は断固として行かない、と宣言した。


当然、親にも先生にも説得された。
親は担任から「修学旅行に行かないなんて、○○小学校開校以来初めてです!」と呆れられたらしい。
それはそれで名誉なこと…なわけない。


友だちにも何度も説得された。クラスのボスでジャイアンみたいな男子にさえ「行きゃあいいのに」と呆れられた。


見た目おとなしげだが、実はものすごく頑固な私は、絶対に行かない!と宣言し、大人も子供もみんなため息をついて説得をあきらめたのだった。


修学旅行に行かない代わりに、親は好きな本を買わせてくれた。
それが「大草原の小さな家」と「アルプスの少女ハイジ」だ。




まだ、TVで放映されるずっと前のこと。
全部で400ページくらいある本だが、あっという間に読めてしまった。
今でもとても大切にしている本だ。


「アルプスの少女ハイジ」も分厚くて読み応えのある本だった。これもTV放映されるずっと前のこと。あのアニメも可愛くて大好きだったが、興味のある方はぜひ本を読んで欲しいと思う。


たぶんもう1冊買ってもらったはずなのだが、この2冊があまりに素晴らしくて、覚えていない。


周りは「修学旅行にいけない不憫な子」という目で見ていたが、私にとってはこの2冊の本と過ごす時間は至福の時だった。
今でも行かなかったことを全く後悔しないくらい素敵な2日間だった。


マイナスもプラスも人の受け取り方によって違う。
あの素敵な2日間は私にとって宝物だ。
幸せな幸せな時間。


これからまたそんな本に出会えるといいな。