センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

 今年の夏に貴方はいない


昨日の夕方


空を見上げながら思った。



去年の今頃


貴方はきっと 温泉に出掛けただろう。



きれいな旅館の部屋で


温泉上がりの浴衣姿で



野球中継でも見ながら 


グッと冷たいビールを飲んでいただろう。



貴方にとっての至福の時間。








今年の夏に 貴方はいない。


貴方が行くはずだった温泉に貴方はいない。



去年の今頃、生きていた人が


今年の夏には もういない。



去年の今頃、元気だった老猫も


今年の夏には もういない。




人であれ ペットであれ


いなくなった日常に慣れて


それが あたりまえになっていく。



寂しいとか 悲しいとか 


そういう気持ちとは違うけれど



人間って こういうふうに生きてきたんだな


これからも


こういうふうに生きていくんだなと思う。




今、こうして生きてる私も


いつか 風のように消えていく。




もうすぐ新盆。



私は 貴方の残した宿題を


粛々と 片付けていく。