センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

わかるようでわからないこと




夫が亡くなったとき


葬儀社の担当者は若い人だった。



夫が亡くなっていた様子については


警察は私たちには何も言わなかったが



葬儀社の担当者は


警察に電話してその様子を確認したそうだ。



そして


その人は良かれと思って


たったひと言、私に告げた。



そのたったひと言の形容動詞が


私のいくつもの眠れぬ夜を作った。




何でもない、ありふれたその言葉が


私を深く傷つけるなんて



若い彼にはわからなかったのだろう。


彼が悪いわけではない。



けれど


私はその言葉を忘れることはないだろう。


時々その言葉に苦しめられることだろう。




だから



私は誰にもそのことを言わない。


死ぬまで心の中にしまっておく。




人がどんな言葉で傷つくのかなんて


わかるようでわからない。



わかるようでわからない ということを


ちゃんと知っていればいい。