センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

 再生



次男が頼んでいた手元供養の品ができた。



ハンドメイドのオリジナル作品は


夫の好きだったものに由来する。



1番好きだったものは、もちろんお酒だが


やはり それは避けたかったのだろう。



小さくて、シンプルで、とても良い。



そして お守りに、と


私たち家族全員分の


持ち歩ける勾玉も作って下さった。



その温かい心遣いに頭が下がる。





昨日、


母と兄が 夫の部屋の近くを通りかかって


入居していた、と教えてくれた。



納骨の日も 5月になってからも


あの部屋はあのままだったから



ずっと気になっていたのだけれど。



今朝、出かけて見た。



見慣れたあの部屋の窓には


白いカーテンがかかっていて



あぁ、良かった、と思った瞬間、


何故だか 鼻の奥がツーンとして



その感情を抑えられなかった。



新たに住んでくれる人が現れて


また、あの部屋は再生する。



ずっと気になっていたことが


ようやく解決して、ホッとして



もう、あの部屋は


二度と夫が住むことはない、という



あたりまえの現実に


少しだけ 痛みを感じたのだった。




ちょうど 夫の駐車場から出てきた車は


私が以前に乗っていたのと同じ軽自動車で



色は やはりシルバーなのだった。