センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

 明日、流す涙


夫の部屋を片付けたとき


大量にモノを捨てたけれど



それでも


大量のデジタル機器や 捨てられないモノが


まだ、たくさんある。






一度も見たことのないアルバムが3冊あって


その中に 若い頃の夫や義姉がいる。



家族の写真だ。



写したのは おそらく義父なのだろう。


その数々の写真を見ながら



義母の笑っている写真が1枚もないことに


気づいた。



怒っているわけではないのだろうけれど


本当に ひとつも笑顔がない。


とても 硬い表情なのだ。



カメラを向ける義父に



どうしていつも そんな怖い顔なのか、


わかるような気もする。



義父は


飲み過ぎて、みんなに迷惑をかけたので


その苛立ちが義母の表情に表れたのだろう。








「離婚しようと思ったんだけどね。」


と、義母が話したこともあった。



独身のとき、


他に結婚したい人がいたのだと言う。




義母も どこかで期待していた。



義父がお酒をやめてくれる日が


いつか来ることを。



残念ながら、それはかなわなかった。




中島みゆきの歌に



「ほうせんか」という曲がある。




 悲しいですね。人は誰でも


 明日、流す涙が見えません。





こんなフレーズが 大人になって


痛いほど 身に沁みる。





 別れる人とわかっていれば


 初めから寄り付きもしないのに。




と、続くのだ。



明日、流す涙がわかっていたら


人はどんなふうに生きるのだろう。



義母の人生も 大変だった。



今は 煩悩から解き放たれて


親子3人、天国で幸せに暮らしているといい。



アルバムは お菓子と共に義姉に送った。