センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

 「あんな大人」



今朝、ブロガーさんが紹介されていた、


大手ゼネコンの初任給についての記事を見て



若い頃のことを思い出した。



まだ独身だった私は 仲間といっしょに


新婚の友だちの家へ遊びに行った。



彼女は大手ゼネコンに勤務していて


別の大手ゼネコンに務める男性と結婚した。



旦那様は 誰でも知っている優秀な大学卒で


立派なエリートだった。



しかし、仕事柄


現場に行くときは作業服にヘルメット姿だ。



あるとき、現場で作業をしていると


近くを通りかかった親子連れが指差す。



その母親が小さな子供に


「あんな大人になっちゃダメよ。」と


話しているのが聞こえた。


「勉強しないと、あんな風になるのよ」と。




旦那様は


「俺、一応、一流大学卒なんだけどな。」


と、ぼやいていたそうだ。



若い私たちは 笑いながら聞いていたけれど




その子供は 今、どんな大人になったのか


どんな仕事に就いているのか


ちょっと気になるところだ。





人は見た目が9割、というけれど



作業服姿を「あんな大人」と評した、


その母親の価値観は揺るがなかったのか、


と、それもまたちょっと気になるところだ。




毎日、油まみれの作業服で働く長男は



その服を脱いでも エリートにはなれない、


「あんな大人」になったわけだけれど



なかなか幸せに暮らしている。






世の中は色々な仕事で成り立っているし


色々な価値観がある。



長男が発達障害でなかったら 


私もその母親と同じ価値観で


生きてきたかも知れない。



エリートの初任給は


長男が 20%増しの深夜勤務と残業とで


ようやく超えられる金額だ。






  坊や、世の中は 


 「あんな大人」に支えられているのだよ。




声が出るうちは


負け犬の遠吠えも悪くない。