センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

 還る場所


別の会社の樹木葬のパンフレットを見ながら


どうしたものかとため息をつく。




「利用期間はご納骨日より100年間」

「または最終ご納骨者様の13回忌まで。」


上のプランは54万円〜


下のプランは37万円〜


利用期間が過ぎたら合祀墓へ合葬致します。




      なるほど…







父が亡くなってしばらくしてから



永代供養を考えていた母は


知人のお寺の関係者に尋ねた。



お骨がどんどん増えたらどうするんですか? 



その答を聞いて 母は永代供養を諦めた。



     「捨てます。」  



   そう言われたからだった。             



      





私が卒業した学校はプロテスタント系で



朝礼の代わりに礼拝があった。


だから キリスト教についても勉強した。




兄は仏教系の学校を卒業した。


だからお経を唱えることもできる。




長男は仏教系の大学を卒業し


次男はカトリック系の大学を卒業した。




母の実家は檀家総代だったが


母の戸籍上の親はキリスト教式の葬儀で




私の大学時代の友人は 父親が


私の住む街より もっと田舎のお寺の


住職だったが



友人は通っていた英会話の講師に影響されて


クリスチャンになった。




そして


その家族は全員、


彼女の影響で キリスト教に改宗した。



それを知らせる便りには


霊的な体験云々と書かれていて



その後 付き合いが途切れてしまった。






義父の葬儀をお願いした葬儀社に紹介されて


永代供養をしたお寺は



通された部屋の壁に


「〇〇様 50万円」 「〇〇様 30万円」


などと 納められたお布施の金額が


何枚も貼られていて 驚いた。




母方の叔母は 新興宗教に傾倒し



何度も多額の献金を迫られた。


嫌気がさして 叔母は距離を置こうとしたが



それが事実か妄想なのかはわからないけれど



その団体の信者に


家の外で見張られている と言うようになり



最後は鬱病になり 突然 亡くなった。







私はクリスマスも好きだし


年が明ければ 神社にも参る。




宗教に関しては 矛盾だらけだ。




自分の中で 答が出ない。




天邪鬼な私は 



どんな宗教であれ


信心深い人間にはなれそうもない。




宗教で差別されたり 争いが起こったり


不当な扱いをされたり…




それこそが人間故の煩悩ではないのか。




人間が作った、ある意味とても人間的な渦に



どうしても 相容れない自分がいる。




   人は どこに還るのか。