センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

 人としての信用度


夫の部屋を解約したとき


立ち会いに来た管理会社の人が



お悔やみの後


「長い間、お借りいただいてありがとうございました。」


と、頭を下げた。



8年間、住んだ部屋だった。



それはそのまま私たちの別居期間だ。







賃貸物件の退去時にはトラブルが多い。


通常損耗を超えた損耗に対して


100万だの120万だのと


原状回復費用を要求する業者もあると聞く。



孤独死、孤立死は増えているので


貸す側もそれに対応した保険に入っている。



夫はおそらく死後4日ほどだったと思うが


それでも 倒れていたトイレは


リフォーム必須だった。



夫も借家人賠償責任保険に入っており


部屋で亡くなっていた場合、


10万円を限度として給付があるが、


保険あるあるで、ハードルが高い。



どういう基準になっているのか


このトイレのリフォームは


おそらく貸した側が保険を使うのだろう。


私たちはこのトイレの特殊清掃に


保険が適用されるかを申請することになる。



夫が借りていた部屋は


大手の不動産会社だったので


原状回復に対して


無理な要求がなくて助かった。






夫の信用情報開示については


しばらく待たなければならない。



信用情報開示は


自分のことについてもできる。


初めて知った。



私は夫と別居していて、住所が別だし


扶養関係にもないので


戸籍謄本でしか


配偶者であることを証明できない。



夫に関する手続きで



私は戸籍謄本でしか


自分の立場を証明することができない。



私自身の信用度は


戸籍謄本でしか証明できないということだ。




あたりまえのことではあるが



事務的な手続きにおいて


人としての信用度は


この紙媒体でしか証明できないことに


不便というだけでなく



婚姻関係にある という事実の重さを


改めて感じる毎日なのだ。