センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

 ミッションの結末



アルコール依存とか ゴミ屋敷での死とか



よくあるニュースでの出来事は


世の中の末端で起こることだと思っていた。




それが 


本当に平凡に生きてきた自分の人生に


深刻に関わって来るなんて




思いもしなかった。







息子たちと片付けに出かけた夫の部屋は


玄関から見た荒み方が


そのまま どこまでも続いていた。




モノがあふれ  足の踏み場もない。



買い物依存もあったのか


時計だの 鞄だの タブレット端末だのが


幾つも出てきた。



時々


温泉旅行に出かけるのは知っていたが



その温泉のタオルやバスタオルが


大きなゴミ袋で3杯にもなった。




そんなに温泉に出かけて楽しんだのなら


良い人生で良かったではないか



と、母は言った。




それは そうかも知れない。




けれど 



見たくないものを 見ないために


逃避していたのかも知れない。



この荒んだ部屋から 


脱出したかったのかも知れない。




面倒くさいことが嫌いな彼は


少し片付けや 掃除をサボるうちに



触ることも嫌になり 放棄して


もう、それを見ないことに決めたのだ。




持って行ったはずの掃除機はなかった。


どこもほこりまみれで モノに埋もれ


3人で片っ端から片付けても


終着点が見えなかった。




この部屋を素人で原状回復するのは


もう困難だった。




体力的な問題と言うより



精神的なダメージが大きかった。





今週は 本当なら



彼を連れて アルコール依存の病院へ


面談に行くはずだった。



入院して 断酒させて



なんとか 彼の人生を再生させる



ミッション2が待っているはずだった。



そして その先に 私自身のリセットが



待っているはずだった。





私のミッションは


全く違う形に変わってしまった。




自分の人生に



こんな展開が待っているなんて



想像もできなかった。