センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

誰かが忘れてくれるまで


自分の口から出た言葉は


誰かが忘れてくれるまで消えることはない。



だから気をつけようね、


ってことなんだけど…



御歳79歳は、仕事に就いて2ヶ月半だ。



最初こそ感謝の言葉を口にしたが


1週間も経たないうちに



オーナーへの不満を漏らし始めた。


そして、お局様への不満をオーナーに


ぶちまけて、シフトを変更した。



仕事を覚えようとする姿勢が、なかなか


オーナーにも、他の人にも見えず


まずいな、と思っていた。



仕事も覚えないうちから、


不満ばかりみんなにぶちまけていたら


いっしょに働く人たちも気分が悪い。



彼女は瞬間湯沸かし器なので、


やんわりと遠回しに注意していたのだけれど


それが気に入らなかったらしい。



別のスタッフが


御歳79歳が私のことをあれこれと言ってる、


と教えてくれた。



その内容はかなり激しいもので、


ほとんどが誤解によるものだし



時系列もメチャメチャで、


私が彼女の悪口を触れ回っているに違いない


というところまでエスカレートしていた。



なるほど…そうきたか…



人から意見されるのが嫌いな人なので


彼女の偏った意見に賛同しないことも


火に油を注いだに違いない。



お局様と彼女とのバトルが


なぜだか私に飛び火して、私由来の話になり


私は影で何かを企む危ない人になっている。



もつれにもつれた糸は


どこをどう解けばいいのかわからない。



猫につけた鈴は


思いがけないほど、激しく私を打ちのめし、


人間関係の難しさを思い知るのである。



でも、彼女もお局様と同じで


自分が爆発した後、自分の言動を振り返り


悩み、苦しむタイプである。



そして、そこに悩むことさえ


自分のせいではなく、他人のせいなのだ。



人を変えることはできない。



私も、もうおせっかいを卒業しなくては、


と思う。迷惑なおせっかいもあるのだから。



自分が良かれと思ったことが


人にも良いこととは限らない。



彼女は頑固にあの人生を貫くのだろう。



私は、自分の気持ちを立て直すために


私の人生に、彼女を入れない、と決めた。



同僚として、うまくやっていけばいい。


もう、もつれた糸は戻らない。



彼女は私の言葉を忘れず、


私は彼女の言葉を忘れない。



こぼれたミルクは戻らないんだね。



きれいに拭いて、洗い流して


また、日常に戻る。



雨の日曜日は、そんな1日。