センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

ノーマルとアブノーマルの間


「わしって、小中のころ、忘れ物多かった


り、話聞いてないこと多かったりした?」



突然、こんなLINEメッセージが来た。


わし、というのは次男である。



どうした、どうした?



次男は夏頃から仕事量が多くなり、


さばききれずに悩んでいた。



あっちで怒られ、こっちで怒られ…



自分の容量を超えているのなら


上司に相談するしかない。



上司は「適当に手抜きすればいい」と


ホントにテキトーなアドバイスをした。



解決に至らず、かなり病んできて、


心療内科に行った。



冒頭の質問から予測されたのは


その病院でADHDでも疑われたのでは?


ということだ。



当たりだった。



長男は発達障害だけれど


次男にそれを疑ったことはない。



その病院ではADD(注意欠陥)を疑われた


ということだけれど、



現在ではこの診断名は使わず、


不注意優勢型ADHDと診断されることが多い


という。



(LITARICOより)



イマドキの子どもに多い特徴である。



で、次男になんと返信したか、というと



「特に当てはまることはなかったけれど


高校生以上になってから、


スケジュール管理が下手だな、とは思った」



☝これは今でも思うこと。



駅まで送っていこう、というときに


決めていた時間に出発できたことがない。



慌てて出かけるから、


後から忘れ物に気づくことも多い。



どうして前の日に準備しておかないかな〜


と内心苛つくことが結構あった。



長男は自分を知っているので


出かける予定のあるときには



必ず前もってきちんと準備しておく。


時間にも余裕をもって出かける。



同じお腹の中から出てきて、


同じものを食べて育ってきたのに


この違いは何だろう?とよく思う。






結局、ADHDではないと診断されたらしいが


少し耳の機能が悪い、ということだった。



耳で聞いてメモを取ることが苦手で


聞いても、素通りしてしまうことがある、


と次男は言う。



あれ?どこかで聞いたような…



そうだ、夫だ!



長男が発達障害と診断された頃、


たくさん、その手の本を買った。



「頭でっかちになるぞ」と言っていた夫だが


パラパラと目を通していて、突然、言った。



「俺、これだ!」



それは、学習障害について書かれた項で、


特徴が当てはまるらしかった。



夫は、板書が苦手だった。


どうしても時間がかかるので、


耳で聞いて覚えるのが得意になった。



しかし、と私は思う。



その割に私の話を聞いてなくて、


前日に話したことも「聞いてない」などと


平気で言うことが多かった。



次男のように、聞いたことが


「右から左に抜けてしまう」


という状態だったのかも知れない。



       遺伝だ!



夫のことを伝えると


次男からも「遺伝だ(笑)」と返ってきた。



あたりまえに家族として暮らしてきたのに


わからないこともあるんだな、と思った。



母親失格だ!などと


しおらしく反省するつもりはない。



こういうポンコツな母親から


彼は生まれ、育ってきたのである。



私は私なりに頑張って育ててきたのだ。


なんでもわかり合える、なんて幻想だ。



とりあえず、次男に送るメッセージには


「弱点を知ることは大事」


「わかって良かったね」と書いた。



ノーテンキな返信である。



でも、私は気づいたのである。


診断基準に挙げられた項目に



子どもの頃の私は全て当てはまる(⁠ノ゚⁠0゚⁠)⁠ノ⁠~


       遺伝だ!



でも、自分を知ったから、


どうにかこうにか普通に生きてこれた。


まぁ、普通って何?という話ではあるが…



ポンコツな自分を知ることは大事だ。


そんな自分に期待し過ぎないことは


もっと大事なことだ、と思うのである。




菅田将暉 『虹』