センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

 優先順位


よくドラマのセリフとかで


「私と仕事とどっちが大事なの?」と


相手に詰め寄る場面がある。




若いときには何も感じなかったけれど


歳を重ねて来た今、


こういうセリフを傲慢だな、と感じる。



「もちろん君だよ」


と言われることを期待した言葉なのだろうが


何だか薄っぺらい気がする。



人との関係って 実は曖昧で、脆くて


不確かなもの。



昔、夫に聞かれたのは


「猫と俺とどっちが大事なんだ」だった。



心の中で


「もちろん猫よ」とつぶやく私がいた。



夫も「お酒と私とどっちが大事?」


と聞かれたなら、


心の中で「もちろんお酒」と答えただろう。



優先順位は人それぞれ。




けれど、これが人との比較だったら話は別。



妻より愛人、夫より愛人。


子どもより愛人、親より愛人。



だとしたら?


もしくは、その逆だとしたら?



誰だって優先順位の先頭には自分がいたい。


物語は誰の目線で描かれるかで


全く様相が変わる。



人間って哀しい生き物だから


いつだって優先順位の先頭にいたいけれど



自分が先頭にいる幸せは


先頭にいない人の哀しみと隣り合わせだ。



先頭にいられないってことを


実は気づかない振りで生きてる人もいる。



夫よりも猫が優先順位だった私も


自分目線で生きてたんだな、と今は思う。



Spitz - まがった僕のしっぽ (2019)