センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

 坂道


坂道が好きである。



その先に何があるかわからない、


長くて急な坂道が好きである。



そんな好みの坂道を見つけると


登りきったその先に



どんな景色が広がるのか


想像してワクワクする。



以前、支援に入っていた小学校は


自然豊かな場所にあり、



近くには、長くて急な坂道が幾つかあった。



ある日、


職員室で事務の人や養護の先生と


給食を食べていたら



ある、超人気アイドルが


その学校の卒業生であることがわかった。



そして、前にブログに書いた、


学級崩壊してしまった3年生のクラスに


そのアイドルの従兄弟がいた。



びっくりだった。



その従兄弟は、よくいる、おしゃべりで


先生によく叱られるやんちゃ坊主だったが


それを自慢するようなこともなかったのだ。





その話を聞いた時、


以前、そのアイドルが出演していた番組で


話していたことを思い出した。



出身地のおすすめ場所を尋ねられた時、


そのアイドルは坂を登った先にある、


街を一望できる場所を挙げていた。



街の夜景がきれいに見える場所なのだと。



坂道、夜景がきれいに見える場所…


好奇心がくすぐられるワードである。



当時、ネット民がその話を聞いて


そのおすすめスポットはどこなのか?と


あれこれ推理していた。



そのアイドルが口にしたワードを


幾つか組み合わせて推理された場所は


私が思う場所とは違っていた。



そのワードの組み合わせに合う場所は


私が登ってみたい、と思っていた、


あの幾つかの坂道の1つではないのか?



私は週の終わり、勤務後に


その坂道を順に登って見ることにした。



その坂の行き着く先に何があるのか、


そして、何が見えるのか、


ちょっとワクワクするチャレンジだ。



その幾つかの坂道は


想像以上に傾斜のきつい坂だった。



歩くのが好きな私でも


途中で休まないと登りきれない。



幾つかのおしゃれな住宅があるが


ここを車で登り降りするのも大変そうだ。



2回目のチャレンジを試した坂道で


ここでなら、夜景がゆっくり見えるのでは?


という場所を見つけた。



振り返って見ると


さすがに高い場所まで登ってきたので


なるほど、にぎやかな街が一望できる。



まだ、日も暮れない時間帯だったので


夜景は見られなかったけれど


なかなかの眺めである。



その年度で私は退職したので


その坂道に登ったのはそれきりで



結局、夜景は見られなかった。



その場所が


あのアイドルのおすすめスポットなのかは


わからない。確かめようもない。



しかし、ポイントとなる重要なワードに


ぴったり合う場所はそこしかない。



おそらくそこは


アイドルが慣れ親しみ、


こよなく愛した場所であるに違いないのだ。



答え合わせは永遠にできないだろうけれど


それはそれでいい。



いつかまた、


あの急な坂道を汗だくで登り


その美しい夜景を見てみたい。



坂道の行き着く先には


時々、思いがけないご褒美が待っている。




学校坂道    西口ようこ作詞・作曲 The way to our school