センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

 緩み具合


今日は母を連れて病院へ。


あさイチ、9時の予約である。



いつも、87歳、認知症の母に


「こんなに暇で大丈夫?」と心配されるほど


空いている病院だ。



9時になると放送が入る。


診察開始のアナウンスだ。



しかし、たぶん主治医はまだいない。



9時5分になると、


その主治医はやって来る。


リュックを背負って、普通にやって来る。



初めて見たとき、


遅刻した看護師か、と思った。



まだ若くて、予備校通いの浪人生みたいだ。



今日もあたりまえに遅刻してきて


なかなか診察が始まらないな、と思ったら



浪人生みたいな主治医は


白衣を羽織ったまま、トイレに消える。



この辺りで 私は少しイラついてくる。



そうして、やっとトイレから出てきた、


と思ったら



おもむろに小銭を取り出し


自販機でコーヒーを買っている。



これが彼のルーティンなんだろう。



9時20分になると、ようやく


母の名前が呼ばれた。



診察室に入ると 主治医の向こう側に


無造作に置かれた黒いリュックが目に入る。



ロッカーとか、置く場所ないんかい(⁠・⁠o⁠・⁠;⁠)



主治医はカルテを見ながら言う。


「お待たせしました」 ┐⁠(⁠ ⁠˘⁠_⁠˘⁠)⁠┌



はい、はい。待たせていただきましたよ。



9時から診察始まるのに


なんで9時5分に出勤してんの?



遅刻してんのに


なんで缶コーヒー買ってるの?



私は心の中でブツブツ文句を言う。



この浪人生みたいな主治医、


いつも遅刻があたりまえなのである。



もっと大きな病院だと予約を入れていても、


3時間待ちなんて普通だ。



だから、待たされるのが嫌なわけじゃない。



患者の数よりスタッフの数の方が多い、


いつもガラガラに空いている病院なのに



どうして いつも遅刻してくるのか


どうして 定刻に診察を始めないのか



そこにモヤモヤするのである。



坊っちゃん、坊っちゃんした主治医は


穏やかで優しい人だが



いつもお決まりのことしか言わない、


所謂3分診療である。



母の会計は いつも400円だけれど


なんだか納得がいかないのだ。



仕事なんだから、10分前には出勤して


大人なんだから、トイレは済ませておこう。



そういうこと、教える人がいないの?


いや、社会人でしょ?


自分でいけないと思わないの?



患者は、迷惑かけないように


15分前には待合室で待ってるんだけど。



せんせ〜、時給いくらですか?


仕事、ナメてませんか?


患者は見てますよ〜?



どうでもいいことだけど



この病院が こんなにガラガラなのは


こういう緩み具合と無関係ではない、


と私は思うのである。