センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

 異分子のままで


子どもを預かる施設では


いろんなことが起こる。



お局様にマウント攻撃をされた日、


室内で軽いボール遊びをしていた子が


転んで怪我をした。



ものすごく滑りにくい絨毯なのに


どうして転んだのかわからない。



誰かに押されたとか、ぶつかったとか


そんなことではなく、



ボールから逃げようとして


自分で転んだのである。



転んで、顔をぶつけたので


唇が切れて、出血した。



男の子には、あるあるの怪我である。



しかし、大騒動になった。



本人が歯もグラグラすると言うし


切れた唇も当然腫れている。



オーナーが飛んできて


どうしてこうなったのかの聞き取りをし、


保護者に連絡して、謝っている。



お局様が 「やってくれたわね」という顔で


私を一瞥して通り過ぎる。



私が一人で二部屋を見ていた時間に


起こったことだからだ。



三年生以上の子どもばかりだったし


その軽いボール遊びは


それまでに その施設で許可されていたから



特に問題があったわけではない。


そりゃ、転んだりするよ、子どもだもの。


としか言いようがない。



隣の部屋では 勉強をさせていたので


ボール遊びの声がうるさい、と


クレームが入っていた。



だから、ボール遊びそのものを


転がしドッジにさせて


なるべく動き回らないような形にしていた。



それでも、転ぶときは転ぶし


怪我をするときはするのだ。



大人が見ていたからと言って


自分で転ぶものを 防ぐことはできない。



怪我をさせたくなければ



常におとなしくすわって本でも読ませるか


ボードゲームでもさせるしかない。



そんな施設に子どもが来たいか?


という話なのだ。




前に 小学校に支援に入っていたとき


1年生の男児が 自分の眼鏡を


自分で踏んで壊した。本人の不注意だ。



しかし、


担任教師は、すぐに保護者に連絡して


「申し訳ありません」と謝っていた。



そういうものなのだ。



私も同じように、オーナーに謝り


オーナーは保護者に謝った。



幸い、歯に異常はなく、


唇も冷やしたら、腫れは治まったらしい。



その後、私が低学年のいる部屋に戻ると


階段を降りていく子どもたちに、


お局様が大きな声で言った。



「気をつけてね!


 今日は怪我人が出てるから!!」



2度も繰り返した。私に聞こえるように。



その次の日は


別のスタッフが悪気なく言った。


「昨日、大変な事故があったんだって?」


┐⁠(⁠´⁠ー⁠`⁠)⁠┌



そして、また別のスタッフが  


私が提案した受け入れ時の変更について


「変更になったんだって!」と言っている。



また別のスタッフは、その変更について


「子どもがブツブツ言っている」と


私に言う。



私の頭の中で、チェッカーズの歌が流れる。



♪そんなに俺が悪いのか♪ ┐⁠(⁠ ⁠˘⁠_⁠˘⁠)⁠┌




お局様は


子どもたちがダンボールで工作することにも


反対のようで



子どもたちが自分で片付けられないのだから


止めようということになっていた、と言う。



でも、子どもたちがあたりまえに工作してる


ということは、


私が来る前から続いていた、ということだ。



しかも、子どもたちは


オーナーから直接ダンボールを貰っている。


私がやらせたことではない。




新参者の扱いはこんなものである。


しかし、これで凹んでいたら


この業界で働くことはできない。



私が入る前に辞めた二人は


私が前にいた事業所に転職したらしい。



 いや、そちらもブラックですよ?




子どもの安全な居場所である施設は


大人にとって 闘いの場である。



私は異分子のまま、進む。



いいもーん、嫌になったら辞めるもーん♪



そんな言葉をお守りにして


行けるとこまで行ってみる。