センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

「どうしてこんなに悲しいんだろう」


私がもし男で、自分の妻が 毎晩、


350ml缶のビールを5本空けたら


それを良し、とできるだろうか?





昨日、義兄と会った。25年ぶりくらいだ。


遠くにある、義父が遺した土地の相続問題を


相談するためである。



結論から言えば、双方が「いらない」という


答を持ってきていた。



双方の息子たちが「いらない」のだから


仕方ない。



誰も相続しないのであれば


次男が相続する、と言っていたが



登記にはそれなりの費用がかかるし


管理する責任も負う。



義兄は、相続は放棄できる、と言うけれど


相続放棄の期限はとっくに過ぎている。



自治体に寄付できるといいのだが


それも望み薄である。



訳の分からぬ山林など、誰も欲しがらない。



法律が変わったので、


故人の名義のまま放置することはできない。



とりあえず、義兄が自治体などに


問い合わせてみるそうだ。



義兄は私と夫が別居していたことを


知らなかった。



別居に至る事情を話すと、


「うちと同じだ」と笑う。



夫はかなりアルコールに依存していたが


義姉も同じくらい依存していた。



コロナ前は、毎日スナックに出かけ


千鳥足になるまで飲んでいたらしい。


それを迎えに行くのが義兄の仕事だった。



年間、アルコール代に100万ほど使っており


大変だった、と義兄は笑った。



コロナのおかげで、外に飲みに行かなくなり


助かった、と言うのだけれど…



家飲みで 毎晩、缶ビール5本は多過ぎる。



義兄は義姉のアルコール依存を憂慮し


何度も止めたけれど、逆ギレされるらしい。



遺伝なのか、姉弟そろって依存症とは…





私はいつも不思議でならない。



夫たち姉弟は


父親がアルコール依存で


両親の夫婦仲は最悪だった。



そういう中で育ってきて


義姉も夫も アルコールが嫌になったりは


しなかったのだろうか。



義父のような夫は嫌だ、と


義姉は アルコールを飲まない人を選んだ。



なのに、自分はそのアルコールで


義兄を悩ませている。



義母の苦労を間近で見てきたのに


どうしてそうなるのか…



それでも、50年保ったからね、と


義兄は笑う。



義姉が酔って転んで怪我しても


飲酒運転で免停になっても



許し続けてきたわけだ。






義兄と別れて、電車で帰途に着くと


私はなんだか気分が悪くなってきた。



疲れた体に 


ブラックコーヒーがきつかったのか



義姉のアルコール依存の根深さが


私の頭で消化できなかったのか



よくわからない。



また、この土地問題について話し合うときは


そちらの家まで行くよ、と言う義兄に



私は、どうぞ、と言うことができなかった。



もう、一生会わなくてもかまわない、


というくらいに



義兄の話は 私にとって


ヘビーだったのである。



人間って 本当に悲しい生きものなのだ。




どうしてこんなに悲しいんだろう  by 吉田拓郎 2002 15/19