「たとえばぼくが死んだら」
先週、自分の健康診断に行ったとき
待ち時間を考慮して、
本棚から本を1冊、バッグに入れた。
コロナに罹って以来のその医院は
予想に反して空いていたのだが、
やはり、それなりに待つことになる。
バッグから本を取り出し、読み始めると
私は、自分の粗忽な本選びにハッとした。
本のタイトルは
「医者に殺されない47の心得」近藤誠
医療機関で読む本ではない。
ケンカを売っているのか?という話だ。
私は、慌てて表紙が見えないように
膝に置いて読んだ。
近藤誠さんの「がんもどき理論」は有名だ。
がんには本物と「もどき」がある。
どちらにしても、手術や抗がん剤での治療は
9割は無駄。
だから、病気と無駄に闘うべからず。
9割のがんは放置しても良い、というもの。
これには未だに賛否両論ある。
「もどき」か本物かを見分ける方法がない。
この理論が正しいか否かは
もっと先にわかるのだろうと思う。
近藤誠さんは亡くなられてしまったので
この理論はやがて忘れられるかも知れない。
近藤さんが
この本の中で伝えたいことの一つは
医療とお金の問題だ。
私は元々体質的にコレステロール値が高い。
前回、「これは治療のレベル」と言われて
頸動脈のエコー検査を受けることを勧められ
今月末に予約が入っている。
この高コレステロールの基準値や
高血圧の基準値を近藤さんは問題視する。
基準値というのは
「これ以上になったら病気」と
診断する数値のことである。
この基準値が全くあてにならない、と
近藤さんは断じている。
血圧なら上140mmHg、下90が基準値だが
1998年の基準値は160/95以上だった。
それが、明確な理由なく、
2000年に引き下げられた。
前の基準値であれば、
高血圧の日本人は1600万人、
現在の基準では3700万人もが高血圧になる。
その結果、
1988年の国内の降圧剤の売り上げは
およそ2千億円だったものが
2008年には1兆円を超えている。
「基準値をササッといじって、
薬の売り上げ6倍増」、儲かるのは誰?
と、近藤さんは皮肉るのだ。
この基準作成委員の多くが、製薬会社から
巨額の寄付金を受け取っていることも
問題視している。
どこも どこまでいっても
お金の問題はついてくる、というわけだ。
さて、私のコレステロール問題だが
「いまだにワルモノ扱いのコレステロール
も、実は長寿の元です。」
という近藤さんの言葉に勇気を貰った。
コレステロール低下薬も、億単位、兆単位の
お金を生み出す「内ち手の大づち」らしい。
まぁ、そんなものだろう。
仲良しの国には 大手の製薬会社があるし
「内ち手の大づち」は手放せない。
人間は信じたいものを信じる。
「がんもどき理論」はともかく、
「安らかに逝くとは 自然に死ねること」
という近藤さんの言葉は
ストンと胸に落ちるのである。
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