センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

 嵐は突然やって来る


WBCに歓喜し、就職問題に悩んでいたのに


突然、何もかもが吹き飛ぶ知らせが来た。



母と兄はまたもや旅行中なのだが、


母が人様に迷惑をかけるような問題行動を


起こした、と兄からラインが来たのだ。



確かに、物忘れが多くなり


母が、自分でも「頭がおかしくなった」と


こぼしてはいたけれど。



旅行に出かける前に


「私も終わりだ。ちょ〜っと頭がおかしい」


と言うので



「そのうち、青色がお金を盗んだ、とか


言いそうだね」と笑っていたのだけれど。



まさか、突然そんな問題行動を起こすとは…



もちろん、母も88歳になるのだし


認知症になってもおかしくはない。



兆候もあったし、予見できたことではある。



それでも、の衝撃だ。



こういうとき、男の人は弱い。


兄が弱音を吐いている。


目が離せない、地獄だ、と。



とりあえず、旅行から戻ったら


病院へ連れて行かなくてはならない。



私は慌てて義父の土地の相続問題に着手し、


懸案のあれこれを処理していくことになる。



悩んでいた就職問題は 


こんな形で答を出すことになった。



フルタイムでは働けない。


週5の勤務も無理だ。


兄に そんな話はできない。



あんなにしっかり者で


大人になっても 私を支配していた母が



私の知らない母に変わっていく。



嘆いている場合ではない。


兄には冷静な判断ができないだろう。



ラインを閉じてから


独身の兄も 何かと物忘れが増えているので


私は少しぞっとする。



夫婦もそうだけれど


家族って 簡単じゃない。



簡単じゃないけれど、悲観することなく


私は私にできることをやっていくしかない。



私の夢見た平和な老後は


どこまでも遠いな、とため息だけれど。