センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

永遠になかったことにできたら良かった




私は車の助手席に乗って


今後の対応を相談していた。



相談していた相手は夫である。



夫はまだ生きているのに


対外的にはなぜだか死んだことになっていて



その間違いをどうやって正せばいいのかと


二人で相談しているのだ。



そうして


間違いであったと公表する段取りをつけて



ふと でも火葬した事実はどうなの?


と、その現実に気付いて



そこで目が覚めたのである。




これは


昨日の明け方に見た夢だ。



夫は、最後に見たあのヨロヨロの姿ではなく


まだ、若々しく元気だった。



私たちは穏やかに 和やかに


家族として相談していた。



なぜ、こんな夢を見たのかはわかる。



欠礼はがきを出した後の


友人からの反応に対峙したからだ。



目が覚めて 心臓がドキドキして


冷や汗が出た。



夫が亡くなったことを


永遠に黙っていられたら良かった。



花丸の大人になれなくても


非常識な振る舞いであっても



永遠に黙っていたかった。



菊の花の匂いと その立派な花かごが


私を威圧する。



永遠になかったことにできたら良かった。



本当に


そうできたら良かった。