内に向かう刃
高校生のとき
学校が合わず、苦しかった。
親に勧められた私立の高校に進学したが
本当に行きたかったのは公立の高校だった。
毎日がつまらなかった。
つまらないだけでなく、嫌だった。
大人は汚く見えたし、
自分もちっぽけで 価値のない人間だった。
思春期は
外に向かって刃を向ける場合もあるが
内に向かって刃を向ける場合もある。
私の場合は後者だった。
いつも暗い顔をして 胸に刃を抱えていた。
ミッション系の学校だったので
讃美歌を歌うのが朝の始まりだった。
教会にも通った。聖書も読んだ。
宗教に救いを求めた。
それでも
内に向かう刃が消えることはなかった。
いつも 消えてなくなりたいと思っていた。
内に向かう刃が胸を貫いたらいいのに
と 常に思っていた。
その暗い日々を 今は懐かしく思う。
わずか3年の高校生活だ。
過ぎてしまえば ほんの小さな嵐だ。
今、何かしら嵐のただ中にいる人には
どんな言葉も響かないかも知れない。
それでも 嵐は必ず過ぎ去る。
内に向かう刃は いつしか消える。
小さな幸せを拾い集めて今日を乗り切ろう。
空が青い。風が心地良い。花が咲いている。
それだけで 素晴らしい。
生きてることが 素晴らしい。
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