ふっと1冊の本を思い出した。

それは、タングルウッドという、

素敵な街で繰り広げられる、優しくて

どこか懐かしくて、キラキラした夏の日々。

こんな思い出を持っていることが

心から羨ましいと思うような素敵な日々。

懐かしくて、ちょっと切ない。

弟の「ユキ」と偉大な父と過ごした夏。

小澤征良さんが書いたその美しい思い出は

1度も訪れたことのない私たちに

タングルウッドの風や光を

存分に感じさせてくれる。

永遠に輝くタングルウッドの夏を胸に

偉大なるマエストロは天に召された。

「世界のオザワ」としての功績よりも

仲間や家族や音楽を愛し、愛された、

その人生が素晴らしいと思う。

素敵な夏を共に過ごした「ユキ」は

ダンディな俳優の小澤征悦さんである。

自分の子ども時代に

こんな素敵な夏があった、ということが

どれほど人生を豊かにしてくれただろう。

小澤征良さんの「おわらない夏」は

私にとっても、忘れられない1冊なのである。