センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

「アルジャーノン」


今日は、母を連れて私立の病院へ行った。


病院はどこも混んでいるイメージなので


朝、8時半に到着するように出かけた。



まだ、二組しか患者はいない。


早めに来て良かったね、と母と話した。



ところが、診療開始の9時になっても


外来待合室は空き空きである。



どう見ても、スタッフの数の方が多い。


私は少し心配になる。大丈夫か?この病院…



母は、神経内科で認知症のテストを受け、


CTを撮った。



私は、何年か前に


丹毒で神経内科に入院したことがある。



マスクの紐で耳がかぶれて


溶連菌に感染したのだ。凄い顔になった。



病室は寝たきりの人が殆どで、


退院間近に、検査入院の人が来た。



病室内で、歩行のテストや


認知症のテストをしていた。



認知症のテストは 色々あるが、まず、


桜、猫、電車…のようにいくつかの単語を


被験者に覚えさせる。



そして、次に100から7を引く計算を


答えが出なくなるまでやる。


100−7は93、93-7は86…というように。



7を引くって、わりと難しいのだ。



そして、計算の答えが出なくなると、


また、前に覚えた単語を思い出させるのだ。


桜、猫、電車…



母も、これと同じテストをして


計算はできたけれど


単語を思い出すのができなかったらしい。



母は、30点満点中、18点だった。


20点以下は認知症の範囲だ。



このテスト結果を見て、


医師はアルツハイマー型認知症だと


予測したらしいのだが



CTの画像では、脳の萎縮は年相応で


アルツハイマー型には見えないらしい。



しかし、前頭葉と頭頂葉が少し痩せていて


そこが気になるのだと言われた。



確かに 画像には隙間が見える。



私が入院中に検査をしていた件の患者は


特発性正常圧水頭症という病気を


疑われていたようだった。



尿失禁とか、歩き方がおかしいとか、


認知症とよく似た症状も現れるので


見逃されやすいらしい。



画像診断に加え、脳髄液排除試験をして


その結果、症状が改善するかを見て、


診断が決まるようだ。




医師は、この病気やパーキンソン病などを


疑っているようで、



母を歩かせたり、手を何度もさわったりして


確認していた。



とりあえずは、アルツハイマー病の薬で


様子を見るけれど



別の病気が疑われる場合は


大きな病院に紹介状を書く、と言う。



次は、2週間後の予約だ。





診察を終えると、10時を過ぎていたが


相変わらず待合室は空き空きだ。



母は、自分の頭のことより


この病院の経営は


これで成り立つのかと心配している。



隣の薬局も同じく空き空きで、


10人はいるだろうスタッフに対して


薬を待っているのは私たちだけである。



私は、病院も薬局も経営が大変なのだという  


世間のニュースを思い出していた。



母を家に送り届けると、もう、お昼に近い。



私は、美味しいパン屋さんで


好きなパンを買い、


午後からはのんびり過ごした。



夕方、また、人の少ない公園に


見事な桜を見に出かけた。



静かな園内で、桜を見上げながら


頭の中で この曲のサビ部分が何度も


何度もリフレインしていた。




ヨルシカ - アルジャーノン