センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

 ときめきと虚しさと


世の中は不倫に対して厳しい。



昔は金妻ブームがあったこともあって


今みたいに不倫に対して厳しくなかった。



私は 好きになってしまったものは仕方ない


と思っている。



人間は感情の動物だから


理性で抑えられない思いもある。



夫と暮らしていた頃、


夫がPTAの役員を引き受けたことがある。



若くてきれいな女性役員が何人もいた。


当時、「コンパが忘れられない世代」と


メディアに揶揄された世代である。



夫はお気に入りの女性役員を誘って


飲み会をやろうと計画していた。



その女性は息子の同級生の母親で


私もよく知っている人だった。



しかも その飲み会は住んでいる学区内、


つまり近場で行なわれた。



これは反則だと思った。



別の女性に心ひかれるのは仕方ない。


しかし、


それを完璧に隠すのが礼儀というもの。




夫はわかりやすくはしゃぎ、


私のいる前でメールを送り、


近場で集まろうとしていた。



PTAは わりとそういう噂が立つ。



実際、よその学校ではPTAで恋仲になり、


離婚したカップルもいた。



これは 子どもが気の毒である。


田舎の噂はあっという間に広がる。



夫には 私や子どものテリトリーで


そういうことをしないで欲しいと伝えた。



噂にならないように気をつけるくらい、


あたりまえのことではないか。



脇が甘いのか 私を軽く見ていたのか


その両方なのか 



どちらにしても 忘れることはない。





浮気も不倫も倫理を盾に非難する気はない。


人はより素敵な方に流れていく。




映画もドラマも


誰目線で見るかで 受け取り方が変わる。



道ならぬ恋に共感してドキドキしたりするが


目の前の恋に夢中な二人に



ふっと その妻や夫は彼らにとって


どんな存在なのだろう、と考える。



自分がその妻であったり夫であったり


そちら側の立場だったら、と思うと


なんとも複雑な気持ちになる。




どちらかというと そんな映画もドラマも


道ならぬ恋を応援したいと思うのだけれど



目の前で明らかにはしゃいでいた、


うかつな男が夫だったので



妻としてのやり場のない虚しさにも


心が揺れてしまう私なのである。