幸せでいこう
年末、観たい映画が2本あって、
でも、大掃除も進めなくちゃなぁ、と
迷っていた。
1本はその週で公開が終わる。
あちこちの映画館で上映時間を調べたけれど
どこも夜遅い時間の上映だった。
友人に自分の迷いを伝えたら、
掃除はいつでもできるけど、
映画は上映が終わっちゃうのよ!と言われた。
ごもっとも、と思っていたら、
公開が終わる週に1箇所だけ
朝早い時間の上映が見つかった。
仕事も休みの日だ。
ここで行かなくてどうする!!
もう1本の映画も観られないかな?と
時間を調べたら、ラッキーなことに
午後1番の上映がある。
よし、2本観るぞ!
朝7時半の電車に乗り、
初めての映画館に出かけた。
上映最終週ということもあって空いていたが、
エンディングの曲が終わるまで、
誰も席を立たなかった。声も聞こえなかった。
ラストの切なさに、誰も動けなかった。
堺雅人さん、井川遥さん主演の
「平場の月」である。
大人の恋の話だけれど、
若い人のキラキラした甘い切なさではなく、
等身大のリアルな切なさだ。
平場の月、とはそういう意味なのだろう。
その余韻に浸りながら、
堺雅人さんが1年読み込んだという原作を
お正月に読むつもりで購入した。楽しみだ。
もう1本は木村拓哉さんと賠償千恵子さんの
「TOKYOタクシー」である。
公開に合わせて、木村さんのラジオ番組に
賠償さんがゲスト出演していたが、
その自然体なやり取りがとても良かった。
映画を見たら、タクシーの走る窓からの風景が
現代のそれであるにも関わらず、
なんだか昭和の映画を観ているみたいだった。
タクシー運転手と乗客としての会話が
どんどん近しいものになっていく感じが
ラジオ番組の会話と重なった。
映画は盛況で、沢山の観客がいた。
そして、その年代は間違いなく、
「寅さん」をこよなく愛した年代だった。
グレーヘアで統一されたような観客席。
私の隣に座っていた初老の男性は、
ラストで何度も涙を拭っていた。
映画館で映画を観る良さは
こういうところにあるんだと思った。
会ったこともない人たちが、
その映画に心揺さぶられ、その感情を
静かに共有する。不思議な空間だ。
2本の映画は、
色々な経験を重ねて生きてきた私たちの
切り離せない後悔をリンクさせる。
帰りの電車の中、
映画を観ることができて良かった、と
心から思った。
時間にはリミットがある。
やりたいことはやらなくちゃ。
見たいもの、聴きたいもの、感じたいもの。
今年も幸せに生きていこう。

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