センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

 「偽りの恋」


先月末


NHKのBS1で放映された番組が気になった。


そのタイトルに「国際ロマンス詐欺」という


言葉が入っていたからだ。



とりあえず録画して


やっと見ることができた。






この人の漫画は 女性なら きっと


1度は読んだことがあるのではないだろうか。



子どもの頃は「りぼん」で読んだし


大人になってからは


女性週刊誌の連載で読んだことがある。



多くの女性は


美容院などで その週刊誌を目にしたことが


きっとあると思う。





ある日



実在するハリウッドスターから


突然メールが送られてくる。


フェイスブックだ。



彼女の作品をある女優から勧められて読み、


感動したのだと言う。



そこから


偽りの恋が始まっていく。



当時 51歳のその「俳優」と


70歳の彼女との 画面越しの恋だ。





この話のうまいところは



この「俳優」が ものすごく有名で


ものすごく人気がある、というスターでは


ないことだ。



マーク・ラファロという俳優を


私は知らなかった。



でも、彼女はよく知っていた。



これが、トム・クルーズとか


誰でも知っているスターだったら


さすがに この話は無理があっただろう。



その「俳優」の画像と甘い言葉に


彼女はたやすく恋に落ちた。



次々にお金を要求されて


その後


12億円を彼女に渡したい という


桁外れの話も 信じてしまった。




劇場型犯罪と言うのか


次々と登場人物が現れては お金を奪った。



金策に困った彼女は


知り合いや家族からもお金を借りた。


息子さんは800万円ものお金を母に渡した。



結局



彼女が騙されたことに気付くまでの


3年半の間に


7500万円という大金が奪われた。



今、彼女はその返済に追われていると言う。





なぜ?と思ってしまうけれど



この偽りの恋を


誰も笑うことはできない。



こんなふうに 騙されてしまうのは


その人が愚かでも 弱いからでもない。



私たちは デジタル媒体に依存し過ぎて


嘘も本当も


見分けることができなくなっているのだ。



実際に見たことも聞いたこともない、


「真実」という幻想を信じて


誰かを何かを 批判したり非難したりする。




それが「偽りの恋」に落ちてしまうことと


どれほどの差があるのだろう。



こうした被害を 恥だと感じて


口をつぐむ人が多い中で



こうして


別の誰かが 被害に合わないように


全てを伝えた彼女の勇気を


私たちが無駄にしないように



私たちもまた


別の誰かに伝えていかなければ、と思う。