センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

 雨の朝

青色


雨の朝、いつものように


長男の車を見送っていたら、



ふと、


息子を戦地に送り出した母親の気持ちは


どんなに切なかったろうと思った。



どうか無事で、と


どれだけの母親が祈ったことだろう。



お国のためなんてどうでもいい。


ただ無事で帰ってくれさえすれば、と


必死で祈ったことだろう。



力でねじ伏せようとする不穏な空気が


私たちを取り巻き始めている。



沢山の悲しみや苦しみの上に


今の平和があるのなら、



その悲しみや苦しみを


自分ごととして手繰り寄せることも


大事なことではないかと思う。



母方の祖父は、指が何本かなかった。


何年かシベリアに抑留されて、


凍傷になったためだ。



酷寒の中で、道で転んだりすると、


それが命取りになるのだと


母は聞いたらしい。



でも、誰もそれ以上のことは知らない。


祖父はその厳しい経験を話さなかった。



右でも左でもなく、


ただ、息子の無事を祈る母親の気持ちだけで


愚かな争いを防げたらいいのに、と思う。



多様性への理解は、


そんなところからでいいんじゃない?



私たちは黄昏を歩くセンチメンタル同盟