「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」
明日のシフトも定かでない春を越して、
日々のバタバタに鬱になりそうだった。
もう、無理だ!
自分のメンテナンスが必要になり、
6月に1日、休暇申請をしていた。
有給が40日も貯まっていた長男に、
有給消化も働く者の権利だ!
とそそのかし、温泉に出掛けた。
長男の希望に沿った場所に決めた。
どこでも良かった。現実逃避だから。
自然豊かな場所だったけれど、
いたって普通の料理、普通の宿であった。
そこも、まぁ、どうでもいい。
いつも旅行に行くときは、
本を2冊持って行く。
今回の旅行で良かったのは、
この本が読めたことだった。
「ぼくはイエローでホワイトで、
ちょっとブルー」
ブレイディみかこさんの著書である。
ずっと読みたかった本である。
このタイトルの魅力は、
そのまま中身の魅力につながる。
「白人」の父と日本人の母とその子どもは
イギリスに暮らしている。
多様性の時代、と世界中で連呼されるが、
イギリスで暮らす、見た目の違う親子は
それ故のくだらない偏見にさらされる。
イギリスでも、日本でも…だ。
「ぼくはイエローでホワイトで、
ちょっとブルー」という言葉は
中学生の息子さんの走り書きだけれど、
「ちょっとブルー」の言葉が切ない。
格差社会が当たり前になり、
社会の分断も一層進む中で、
多様性はきれいごとではない。
「多様性ってやつは物事をややこしくするし
喧嘩や衝突が絶えないし、
そりゃないほうが楽よ」
母の言葉に息子は問う。
「楽じゃないものが、どうしていいの?」
母は答える。
「楽ばっかりしてると、無知になるから」
この優しくてピュアな息子と
ちょっとファンキーな母が素敵なのだ。
性別、国籍、見た目、貧富、思想、宗教…
連呼される多様性は、
実に多くの問題を含んでいる。
自分ごとではない多様性を
自分ごととして考えるきっかけを
この本は与えてくれる。
それも権威の鎧を纏うことなく、
ごく普通の庶民の目線で、だ。
帯に書かれた、
「一生モノの課題図書」という言葉が
ぴったりくる本だ。
というわけで、私の現実逃避旅行は、
とても素敵な本との出会いで
なかなか良いものになったのだった。
梅雨時は心もジメジメしがちだが、
どうしようもなくカオスな現場で、
今日もなんとか頑張るか。
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