センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

 明け方の唸り声


2度目の転職が決まっている次男は


有給を使ってロンドンへ行き、


日曜日まではこちらにいる。



相変わらず明け方に大きな声で唸ったり


何事か寝言を言っている。



ストレスがたまっているのか


そういうたちなのか…



そういえば


彼がまだ幼い頃、こんなことがあった。



夜、いつものように寝かしつけて


テレビを見ていると



大きな声で次男が叫び出した。



驚いて寝室を覗くと次男が起き上がって 


襖を指さして泣き叫ぶ。



  「やめて!あっち行って!」



その怯えた必死の形相に


私も彼の指差す襖に目をやる。



何でもない襖に向かって大声で泣き叫ぶ彼に


私はぞっとした。



私には見えない何かが彼には見えるのか?



私自身もドキドキしながら次男をハグして


大丈夫、大丈夫となだめて


再度寝かしつけたのだった。





そのときは 夜驚症なのかも知れないという


結論を出したのだが、



大人になっても


大きな声で唸ったり寝言を言ったりするので



私は相変わらずドキドキさせられている。



本人も、


自分の叫び声で目が覚めることもあるようで


自覚はあるのだろう。



夫もはっきりとした寝言を言う人だった。


真夜中に「なぁ」と言う声に目覚めて



「何?」と聞くと


「あれ出しといて」と答える。


「あれって?」と聞くと



そのまま何も答えない。


そこで初めて寝言だと気づくのである。



遺伝だろうか。変なことが似ている。




次男は髪をメッシュに染めて


どこから見てもチャラ男にしか見えないが



実はかなりの小心者である。


そこは私に似たのだろうか。



明日の明け方も彼の叫び声で


目を覚ますことになるんだろうな。


やれやれである。