センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

 学校という伏魔殿




担任の先生は一国一城の主だ。



クラスの中で どんなことがあっても


保護者からのクレームがない限り


なかなか外には伝わらない。



しかし


その学校は 問題のあるクラスがあったので


時々、校長や教頭が見回っていた。



1年生のクラスで給食の介助に入ったとき


ひとりの子どもが片付けが終わっても


給食を食べ続けていた。



給食の後はすぐに掃除の時間になるので


他の子どもたちは 机を後に下げ始めた。



担任は 30代の女性で優秀な教師だが


そのときは 廊下に出て隣のクラスの担任と

 

廊下に置いてあった虫かごを見ながら


談笑していた。



そこに 校長が通りかかり


教室内で机の移動が始まっても


給食を食べている子どもに気付いた。



なぜ、その子どもを放置しているのかと


校長は担任に注意した。



私が職員室に戻ると


間もなく、その担任が校長のところに来た。



そして


「先ほどはすみませんでした!でも、私は


 給食を残さず食べるように無理強いしては


 いません!廊下で虫のことを話していただ


 けです!」



すごい勢いだった。



その担任がいなくなってから 


その勢いに驚いた教務主任が校長に尋ねた。


「何かあったんですか?



校長は苦笑いしながら、


「注意したら、怒りに来た」と答えていた。



昔は 教頭とか校長の言うことは絶対で


こんなことはありえなかったと思う。



それに 掃除の時間になっても 


食べ続けている子どもを放置したまま


廊下でおしゃべりしていたのは事実だ。





その次の年度、


教頭が異動になって 別の教頭が着任したが


なぜか この教頭が不人気で



別の30代の女教師は


朝、教頭が挨拶しても 無視したらしい。



      ! ! !



昭和生まれの私には 驚くことばかりだ。



管理職も大変なのである。


今どきは パワハラにも注意が必要なので


先生たちを叱ることも難しい。



20代の先生は まだ若くて素直なのだが


30代は 仕事にも慣れ、自信もついてきて


そのプライドの高さはなかなかのものだ。



この30代の女教師たちは


若い新任の女教師に難癖をつけていじめ、



苦労してせっかく教師になったのに


寿を理由に彼女は教師を辞めてしまった。



私が辞めた後、


教頭に挨拶もしない30代の女教師は



50代の女教師に嫌がらせをして 心を病ませ


2か月の休職に追い込んだ。



こんな先生が どの口で子どもたちに対して


「いじめはいけない」などと言うのだろう。



管理職が 気づかないはずはないのだが


先生たちも人間なので  



自分たちのキャリアを守るために


事なかれ主義に走るのも 無理はない。



現実はこんなものである。



もちろん、これは私が見たことに過ぎない。


どの学校もこんなふうではないだろう。


良い先生もたくさんいる。



それでも 私は思うのだ。これもまた現実。



支援員が研修で集まるたび、


この現実に対するため息が


あちこちで漏れていたからである。



学校こそ 伏魔殿ではないかと


私は密かに思っている。