センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

 ささやかな彩り



梅仕事、などという言葉に憧れた。


いつかは自分で梅干しを作りたいな、と。



しかし、梅干しを作ったとて


食べるのは私しかいないではないか。




スーパーで大量の梅が積まれているのを


横目で見ながら、通り過ぎれば良かったのに



梅が私を呼んだ。



訓練校の試験も迫っているし


余分なことをしている暇はない。



なのに、である。



梅に呼ばれて いそいそと手に取り


よせばいいのに


3キロも買ってしまった。



梅干しではなく、


梅シロップを作りたかったからだが



1キロで十分だった。



氷砂糖とガラスの容器を買い


家に帰って早速作ったのだが



まだ2キロ余る。



ジャムにしようかと思ったが


種を取るのが面倒だ。



そのままコンポートにすることにした。



竹串で梅のヘタを取ったりするのが


なかなか楽しく ストレス解消になる。



そうして


ドーンとできた梅のコンポートを


冷蔵庫にしまい、



お目当ての梅シロップは



毎日、ガラス容器を逆さにし


氷砂糖をカシャカシャさせて


シロップができるのを待っている。



これが私の梅仕事なのだ。



真夏の暑い日に


梅シロップを冷えた炭酸で割って飲んだら



きっと元気に夏を乗り切れるだろう。



台所のガラス瓶の中で


おいしいシロップを製造中の黄色い梅が 



生活にささやかな彩りを与えてくれる。