大好きだった人を嫌いになるのは悲しい
大好きだった人を
大好きなまま失うのは辛い。
いっそ、嫌いになって失うほうが
どんなに良かったか、という人もいるけれど
大好きな人を大好きなままでいられるのは
ある意味、素敵な奇跡だ。
その素敵な奇跡に巡り会えたのなら、
失う辛さがどんなに大きくても
それは、きっと幸せなことなのだと思う。
3年前の夏の朝、
外で草取りをしていた私に
車で通りかかった夫が声をかけた。
驚いた私は話す言葉が見つからず、
とっさに「またね」と返していた。
夫は笑って通り過ぎて行った。
大好きだった人は
もう大好きな人ではなかった。
会わずに済むのなら
ずっと会いたくなかった。
あのときには
もう既に夫は自分を見捨てていた。
家族と離れ、ひとりで暮らし、
仕事もうまくいかなくなった。
お酒だけが友だちで
荒んだ部屋で、自分自身を持て余していた。
大好きだった人を嫌いになるのは辛い。
嫌いになった自分の冷たさとか
見たくなかった自分の負の部分と
嫌でも向き合うことが辛い。
梅雨が明け、
また、暑い夏がやって来る。
「またね」としか言えなかった、
あの日のあの夏を思い出す。
ごめん、でもない。
反省でも後悔でもない。
でも、きっと
この苦い気持ちは忘れない。
見たくなかった自分と
向き合う夏はやって来る。
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