センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

 シニアは痛い


3日前、思いっきり転んだ。


予期せぬすごいスライディングだった。



ゴミの収集日だったのに、うっかり忘れて


ゴミ収集車が流す音楽に反応して


ゴミ袋を持って駆け出した。



走らなくても、まだまだ収集車は来ない。


それなのに焦って駆け出したのだった。



収集場所は砂利を敷いた駐車場の片隅だ。


履いていたのはムートン風の厚底サンダル。



そのサンダルのつま先が上がりきらず、


砂利に足を取られてのスライディングだ。



びっくりした。


こんなに派手に転ぶのは子どもの頃以来だ。



周りには誰もいなかったけれど、


駐車場は道路に面している。



あまりにも恥ずかし過ぎて、


ゴミ袋を置いたら、足速に家に逃げ込んだ。



玄関に鍵をかけると、しゃがみ込み、


しばらく痛みで動けなかった。



痛い、痛い、痛い〜…💦



左の膝と右腕を思い切りぶつけつつ、


あちこちぶつけて擦りむいていた。



コンクリートの面で転ぶのと、


砂利石の点で転ぶのと、被害が大きいのは


どちらなんだろう?



と、どうでもいいことを考えていた。


ホント、どうでもいい。


この痛さを考えたら、どうでもいい。



ペタペタと絆創膏を貼る。


湿布も貼りたいけれど、傷にしみそうだ。



歩くのはわりと平気だけれど、


座った姿勢から立つと、ものすごく痛い。



子どものときなら泣けたんだけどなぁ…



とりあえず午後から仕事だ。


しかも、その日は外遊びの日。



寒くて風の強い日。


公園に着くと、1年生の女の子が転んだ。


少し傾斜のついた砂の道で派手に転んだ。



女の子は泣き出し、


痛む膝を抱えていた私は、心から同情した。


そりゃ痛いよね。泣けるよね。



私は厚手のレギンスの上にカーゴパンツを


履いていたけれど、それでもかなり痛い。


彼女はミニスカートにむき出しの膝である。



涙が止まらない彼女の膝に絆創膏を貼って、


私も派手に転んだんだよ、と伝えた。


私のはもっと酷いんだよ、と。



泣いていた彼女は涙を拭いて、


同士である私に同情してくれた。


転んだ者同士の共感である。



考えてみると、私は最近よくつまづく。


ほんの少し厚底のスニーカーを履くと、


必ず一度はつまづいた。



いつものスニーカーよりも


ほんの少し高さがあるだけなのに、


私の脳がその少しの厚底に対応できない。



これだ、これ。


立派な老化。他人事に思えた老化。



昔は、高齢者が何もない畳でつまづく、


と聞くと「なんで?」と不思議だった。



これなんだなぁ…


つま先が上がらない。脳が適応できない。


立派な老化道を順調に進んでいるわけだ。



毎日、結構歩いているんだけどな。


階段も結構往復してるんだけどな。



で、反省しながら、私は己につぶやく。


「落ち着け、落ち着け!



最近、ちょっと落ち着きがない私への


これは戒めなのかもね、と思う。



この日、


また別の痛い経験をすることになるけれど、


それもまた、私の不徳の致すところ。



その後始末に追われながら、


痛みと向き合う週の始まりなのである。