センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

 デジタル遺産


夫が亡くなって 部屋を片付けたとき



デジタル機器がタコ足配線でつながれていて


あのものすごい汚部屋で


よく火事にならなかったものだ、と


次男と二人で ぞっとした。



もう、どこで何がつながれているのかさえ


わからないくらいの配線だった。



夫はデジタルおたくだ。


タブレットだけでも4台はあった。



パソコンは 東芝が1台、NECが1台


マックは3台あった。



私のパソコンは もう10年使っている。


さすがに起動も遅いし 動作が重い。



訓練でパソコンを使うことになったので


夫のマックを使わせてもらうことにした。



しかし…


パスワードがわからない。開けない。



帰省中の次男にも手伝ってもらったが


どうにもならなかった。



こういうときに


簡単にあきらめないのが私である。



夫のデータを残しておく必要もないので


リセットすることにした。



使っていたOSを消去して


また新たにインストールする。



伸びしろだらけの私のこと。


悪戦苦闘はしたが



休日を1日潰して


ついに 使えるようになった。



講義に必要なアプリも


四苦八苦してインストールできた。



あちこち検索して調べたおかげなのだが


その説明の専門用語が


もはや 異国の言葉に思えるほど難解だ。



ものすごく疲れた1日だった。





後で調べたら



マックはデジタル遺産に対応していて


書類を提出すれば 相続人が使えるように


手続きをしてくれるらしい。



もちろん お決まりの死亡診断書やら


家族関係を証明するものが必要だ。



私は 色々なパスワードを


1冊の手帳にまとめて書いてあるけれど



息子たちにも 教えておかなければ、


と思ったのだった。



パソコンやスマホのパスワードなんて


わからないとなったら、お手上げなのだ。



デジタル遺産って よく聞くけれど


まさか自分に関係してくるなんて


思いもしなかった。



遺言書には 


パスワードの記入も必要かも知れない。



それにしても



  夫よ、デジタル機器は買い過ぎだぞ。