センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

 あの日の君に捧げる



昔、まだ私が結婚したばかりの頃


電車通勤をしていた。



ある朝、満員電車の中で


私の前に立っていた男子高校生が


隣にいる友達にこんなことを言った。




「朝の5分は昼間の1時間に相当するよなぁ」




   私は思わず心の中で拍手した。



      なんという名言!




そうなんだよ。朝の5分は本当に貴重。


退屈な授業の5分はあんなに長いのにね。



   あ〜、わかる、わかる!



きっと君は ぎりぎりまで寝てる派ね。


で、お母さんをイライラさせてるわね。



高校生に朝ごはん抜きは辛いから


慌ててかきこんで



急いでリュックを背負って



   やばい!ケータイ忘れた!



とか言いながら 自分の部屋に駆け上がって



スニーカーの踵を踏んづけながら


家を飛び出して


チャリで駅まで疾走するのね。





なんだか 親近感を感じる私なのだった。





目の前で


しみじみと名言を吐いた彼は きっと賢い。




朝の5分は 本当に貴重。


彼は毎朝、それを噛み締めていたのだ。




  今は どんな大人になっただろう。




    私の中の名言大賞は 



    あの日の君に捧げる。