センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

シルバーの車の運転席から


朝、ウォーキングをしていると


国道を走る車が目に入る。



夫が乗っていたのと同じ、


シルバーの車が通ると



つい 運転席を確認してしまう。



そして 


ああ、もういないんだった、と思う。



寂しいとか 悲しいとか


そういう気持ちではなく



ただ、


もういないんだ、と思う。



もういないことが わかっているのに



やっぱり 



シルバーの車の運転席を


何度も確認してしまうのだ。







もう 夫婦としては とっくに終わっていて



彼が アルコール依存を克服できたなら


紙切れだけの関係を 終わらせるつもりで



離婚届の用紙も用意していた。




別れても いっしょに食事をしたりする、


ブロガーさんのブログを見ると



そういう関係になれたら良かった、と思う。





  ねぇ、



  生まれ変わっても 


  夫婦になるのは やめとかない?



  同じクラスのクラスメイトとか


  同じサークルの仲間とか



  そんな関係が きっとベストだよ。



  そしたら



  いつまでもお酒に依存してんじゃない!


  って 背中を叩いて 怒ってあげるよ。


  恋の相談だって 乗ってあげるよ。




  そうして 




  どこかで見かけたら



  シルバーの車の運転席から



  「よぉ」って 片手を挙げてよ。



  私も 片手を挙げて



  「またね」って 手を振るから。