赦されながら歩き出す
若い頃、
2月の晴れた寒い朝、カフェの窓から眺めた景色にその老夫婦はいた。
お揃いのカウチンセーターは、おそらく夫人の手編みだろう。
静かに寄り添い、ゆっくりと歩くその背中は慈しみに溢れ、柔らかな光を纏っていた。
あんな夫婦になりたいな…
若い頃の願いは叶わず、
何が足りず、何が間違ったのかもわからない。
ただただ、それは叶わなかった。
秋の午後、
その人は華やかな花束さえもない場所で、凛と顔を上げ、まっすぐに前を見つめていた。
私たちは誰でもみんな間違える。
つまづき、失敗し、それでも誰かに赦されながら前に踏み出す。
批判と非難の嵐の中を、揺るがず進むその強さが
いつかあの老夫婦のように、柔らかな陽光の中、互いを慈しみながら進む未来へと導いてくれるよう
その門出を静かに祝う。
私たちは皆、
赦されながら歩き出す
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