センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

 背中



朝、散歩をしていたら


登校する小学生の集団と一緒になった。



小さな体に大きなランドセル。


その背中を見ていたら、


息子たちのことを思い出した。



毎朝外まで出て、見えなくなるまで見送る。


卒業するまでそれが私のルーティンだった。



高学年になった頃、


そろそろ見送られるのが恥ずかしいかな、


嫌かも知れないな、と躊躇した。



高学年でいじめに悩んでいた次男は


見送ってもらえるから行ける、


元気をもらえる、と言ってくれた。



意外な言葉に少し驚いたけれど、


子どもにはそんなお守りが必要なのだ。


大人だってお守りが必要な時がある。



担任の先生の尽力でいじめ問題は解決し、


笑顔で卒業の日を待つ頃、


登校するその背中を残しておきたくなった。



毎日、毎日、その背中を見送ってきたが、


もうそのランドセル姿を見る事は無くなる。


だから、そっとシャッターを切った。



たくさんの思いが詰め込まれたランドセル。


小さな背中はどんどん大きくなっていった。



目の前に続くランドセルの集団に


懐かしい日々がよみがえる。



がんばれ、がんばれ。


祈りつつ見送る自分を思い出すのだった。



また、新しい春がやって来る。