センチメンタル同盟

頭と身体の衰えが一致しない私の老いへの初めの一歩

 見えない誰かと握手する


友人をひとり失った私は


それでも何も変わることなく毎日を過ごす。



年齢を重ねるごとに


ひとりで過ごすことが好きになり、


それをとても贅沢なことだとさえ思う。



夫婦で仲良く歩く姿を見ると、


羨ましく思う気持ちは変わらないけれど


それが私にとってのベストでもない。



2人でいても寂しいときは寂しい。


2人でいるときの寂しい気持ちは、


もう、いいや、と思う。



その寂しさが溢れてしまったことに


気づいてあげられてるかな。



いちばん近くにいるからこそ、


心がそこにないと寂しいんだよ。



ひとりでいることの寂しさより


心がそこにないことの寂しさの方が


ずっとつらいんだよ。




そうして


私は昔の私と握手する。


見えない誰かと握手する。