猫は歯が痛み、飼い主は懐が痛む
コタロウは9歳である。
年末にワクチンを受けに行ったとき、
コタロウも9歳なので、そろそろ
歯石を取ったほうが良い、と言われた。
人間と同じように、歯周病は怖い。
特に猫は、歯周病と口内炎がセットで起こり
体にダメージを与える。
全身麻酔で歯石を取る、という話に
少しおよび腰になった。
麻酔は大丈夫なんだろうか?
コタロウが交通事故で骨折したとき、
やはり全身麻酔で手術を受けたけれど、
あのときはまだ若かった。
目が覚めない、なんてことはないよね?
そこは獣医師を信じ、祈るしかない。
朝一番にコタロウは血液検査を受け、
そのまま処置のために預かりとなる。
前もって予約していたので、
シフトも早帰りにしてもらって
ダッシュで迎えに行った。
思ったより歯の状態が悪く、
5本の抜歯となったとのこと。
その際、麻酔のせいなのか、
心電図の波形が低く、
もしかしたら、心臓に異変があるのかも、
と先生も焦ったようである。
5本の抜歯と聞き、かなりショックだったが
もしも処置中に心臓が止まっていたら、
と思うと、ぞっとした。
健康で長生きしてもらうための処置だが、
もしものことがあったら、
後悔したかも知れない。
全身麻酔のため、朝から絶食のコタロウは
夜も絶食である。
まだ麻酔から抜けきらず、
ちょっとふらつくようで、静かに寝ている。
5本も歯を抜いたら、さぞ痛かろう。
優しく撫でて慰める。
覚悟はしていたけれど、
その医療費もなかなかの額で
トータルで4万5千円ほど。
コタロウのためなら、少しも惜しくはないが
コタロウは歯が痛み、飼い主は懐が痛む。
私がまだ働く理由はこんなところにもある。
ブツブツ言わずに働け、働け。
とりあえず私には働ける体があり、
とりあえずコタロウは元気に生きてる。
これ以上、何を望むと言うのだ?
歯の痛みを抱える猫と
懐の痛みを抱える飼い主は
共に仲良くベッドに横たわるのだった。
めでたし、めでたし\(^o^)/
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